気になる介護
夜間良眠
高齢者にとって夜間しっかり眠れる事はその日の身体と心の回復・安定の基本です。施設では嘱託医や心療内科と連携し、夜間良眠できるように配慮、調整をしています。
眠前薬と一言で言っても複雑な要素があり、強く効きすぎると転倒などリスクが生じ、副作用や耐性の問題もあり、大変難しいコントロールになります。よって専門医にも相談しながら 日々、調整をしています。施設ケアにとって重要な課題です。
（眠前薬の役割）
１．入眠の促進・・・寝つきを良くし、眠りに入るまで時間短縮
２．睡眠の維持・・・途中で何度も目覚める、中途覚醒を防ぐ
３．早期覚醒・・・夜明け前に目が覚めてしまうタイプの不眠に対応
４．夜間の不安・興奮の軽減・・・高齢者や認知症の方では不安や徘徊、不穏を和らげる目的
５．良眠による日中活動の改善・・・夜間休息がとれる事で日中のADLや精神状態が安定
（注意していること）
１．長期使用で耐性・依存が生じることがあるので、定期的に見直ししています。
２．ふらつき・転倒・せん妄・記憶障害など副作用に注意しています。
３．不眠の背景（疼痛・不安・排尿・環境音等）改善するよう心掛けています。
４．照明・環境・体位調整・声掛けなど非薬物的な良眠支援を併用しています。
５．眠前薬投与前に排泄を済ませるようにしています。
６．記録を経過状況の把握が出来るように細かくとっています。
７．離床センサーを設置し、転倒・転落を予防しています。
８．嘱託医・心療内科医・職員で情報共有し、早期対応をしています。
★竹の郷では、上記のような工夫・対応の徹底を行い、夜間良眠につなげています。
褥瘡ゼロを目指し
竹の郷では褥瘡（床ずれ）ゼロをスローガンに多職種が連携し、日々のケアを実施しています。
入居者様の尊厳を守り、日常生活の質「QOL」を高める為の大切な取り組みです。
開設して10年が経過しますが、当初は褥瘡の方がたくさんいらっしゃいました。
現在、特別養護老人ホームの入居者様で中・重度の褥瘡を発症している方はゼロです。
スタッフがケアで実践しているポイントをご紹介します。
①早期発見・早期対応
１．毎日のスキンチェックを徹底し、発赤を見逃さないようにしています。
２．皮膚の変化を感じたらすぐに看護師やユニットチーフに報告し、対応しています。
②体位交換と除圧の工夫
１．2時間に１回の体位交換を基本に入居者様の状態に合わせたポジショニングにします。
２．エアマットや褥瘡マット、クッションを使用し、安楽な姿勢となるよう調整しています。
③栄養管理
管理栄養士・看護師・医師・介護職員等の連携にて、タンパク質やエネルギー、水分補給がしっかりできるように管理しています。
④皮膚の清潔と保湿
１．汚染を防ぎ、皮膚の乾燥やムレを意識したケアの実施をしています。
２．保湿クリーム・ワセリン等バリアクリーム、状態の経過に合わせたスキンケアをしています。
（医師の処方による各種軟膏・処置にて経過を観ながら状態管理）
⑤褥瘡委員会
3か月に1回のペースで研修・症例に対する評価を行い、ケアの周知しています。
★今後も協力医療機関や多職種が連携し、褥瘡ゼロを目指し努力して参ります。
入浴介助
高齢者にとって入浴は清潔の保持、心身のリラックス、血行促進、生活に質（QOL）の向上に大きく関わるケアです。安全・安楽に、そして尊厳を守りながら実施する事が大切であると考えます。
竹の郷では4種類の入浴スタイルがあり、利用者・入居者様の身体的レベルに応じた入浴方法を個別に行っており、（一般浴・リフト浴・特殊入浴・シャワー浴）などがあります。
①入浴介助の目的
１．清潔保持、皮膚の汚れや汗を落とし、感染予防につなげます。
２．循環促進・血行・新陳代謝を促進し、褥瘡予防につなげます。
３．精神的な安定・心身のリラックスにつながります。
４．皮膚の状態・褥瘡の有無・浮腫がないかなどのボディチェックの機会となります。
②入浴介助での注意点
１．バイタル（血圧・体温・脈拍等）異常がないか確認します。
２．浴室や脱衣室の温度や湯温の確認をします。
３．長湯にならないよう配慮し、丁寧に細部まで洗身します。
４．皮膚状態の観察をしっかり行います。
５．入浴後は速やかに更衣し、肌の保湿ケア・手足の爪ケア・水分補給を行います。
※一般浴やリフト浴は１人で介助にあたりますが、特殊入浴やシャワー浴は2人のスタッフで介助します。
★介護事故（入浴中の転倒・火傷・創傷・意識障害など）が起こらないように細心の注意をはらっていきます。
